幸せそうな微笑み
「どうしてピアノを弾こうと思ったの?」


「ピアノを弾く子と知り合って…。
聴かせてもらってるから俺も弾こうと思ってさ」


「女の子なんだ?」


「詩織さん、いたずらっ子な顔してる」


「ふふ、だって珍しいじゃない。
女の子と遊んでるのに全然幸せそうじゃないのに。
最近はとっても楽しそうだから何かあるなとは
思ってたんだけどね」


「楽しそう…俺が?」


「あら気付いてないの?
火曜日と木曜日はワクワクって感じで
水曜日と金曜日は幸せそうな顔してる」


水曜日と金曜日…和泉のピアノを聴ける日。


「詩織さんって鋭い」


「あら、これでも聡のこと見てたもの?」


「ありがとう、詩織さん。
俺ね詩織さんの養子になれて良かったよ」


素直な気持ちで言えた。


ずっと伝えたかったんだ、ありがとうと。


「聡…。
そんな嬉しいこと言ってくれたら泣けちゃうじゃない」


確かに詩織さんの目がうるうるしてて。


「伸明(ノブアキ)さんも泣いてくれるかな?」


「泣いちゃうわよ。あの人、涙腺弱いから」


ふふっって詩織さんが微笑むけど
またいたずらっ子な顔だ。
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