幸せそうな微笑み
「ちょっと、聡!!」


「紗恵?どうしたんだよ」


校門をくぐるなり紗恵が走って来た。




「優羽が女に連れてかれたの。
男に彼女の名聞いたら希美っていうじゃない。
アンタがホテル連れ込んだって噂の子でしょ?」


「…それで?二人は」


「特別教室006に入ったって話」





「知ってるだろ、希美。
俺は誰とも付き合わない。
和泉と付き合ってるわけじゃねえよ」


「…分かったわよ。聡なんてもう興味ない!!」



希美がキッとした顔で走ってゆく。



「ごめんな、和泉。まきこんで」


「…気にしないで」


やっぱり気を悪くした、か。


「噂本当だったんだ」


「…噂?」


「誰とも付き合わないって」


「俺さ…分からないんだよ。
付き合うことの意味が全く」


「神宮君?」


「俺の両親かけおちだったんだよ。
なのにさ、離婚した。
だから俺は…なんっつーんだろ。
嫌なんだ…というか怖い、かな。

どうせ別れるんなら最初から
付き合いたくないっつぅか」
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