幸せそうな微笑み
「そういえば名前は?」


「和泉優羽(イズミ ユウ)」


和泉優羽…そうか、彼女が…。


「和泉君は何か弾けないの?」


「聞きたい?」


「聴かせて」


「下手でも許してよ。全然弾いてないから」



子犬のワルツ(ワルツ第6番 変ニ長調 作品64-1)。




何度か間違えながらも最後まで弾けた。


「すごい。とっても…優しい曲だった」


「ありがと。それじゃあ…寝に行くよ。…まだ、聴いても良い?」


「私の音で良ければ」




君の音が、良いんだ。


記憶の中の音そのままだから。
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