シャボン玉 *eternal love*
(4)疑似恋人
「愛斗って子いる?」
――昼休み。
教室の扉が開いたと思ったら、俺の名前を呼ぶ一人の女の子。
綺麗な顔立ち、ゆるく巻かれた長い髪。堂々とした風貌にクラスのみんなが見とれていた。
「俺が愛斗だよ。君は?」
「話があるの。ちょっと来て」
名前も名乗らず女の子は颯爽と先を歩いて行った。
「愛斗、またコクられるんじゃね?」
「いいなー。一年でかわいいって有名な子じゃん」
後ろからは好き勝手なことを言っている友達の声が聞こえてくる。
告白なわけねーじゃん。俺の名前は知っていても、俺の顔は知らなかったんだから。
とりあえず名前も知らない女の子の後を追った。昼休みには人通りの少なくなる渡り廊下までやって来ると、足を止めて俺のほうを振り返った。