シャボン玉 *eternal love*
(5)触れたい
「俺からコクったことにしよ?」
「……でも」
――放課後の教室。
本当に好きなのに、好きなフリをするという自分がなんとも滑稽に思えた。
「井野くんはいいの? 私と付き合ってるフリなんてしたら好きな人に誤解されるよ?」
「好きな人なんていないから」
嘘をついた。でも今は必要な嘘だ。
「俺にも責任があるからそうさせて。相馬さんに好きな人ができたら、俺との関係はいつでも解消すればいいから」
その『好きな人』を『俺』になってもらえるように頑張るけどね。
「……井野くんも好きな人ができたら言って」
「うん。じゃあ色々決めよう」
「ありがとう……ごめんね。私が弱いから……」
彼女は、かなり精神的に参ってた。すぐに泣くし、見ていて胸が痛かった。