夏の桜
 俺のハクに対するこの感情は何なのだろう、と時々ふと思う。
 可愛くて、危なっかしくてほっとけない。離れているとむしろ俺の方が不安になる。無性に愛しく感じる。
 でもきっと“恋”とは違う。
 ハクがこのままいなくなったら、俺はどうするだろうか。自分でもわからない。
 あの不安の中にいる俺にとって、今のハクは霧の向こうにいるように少し遠くて、掴まえられない。
 ……離れられないのは俺の方なんだと実感する。
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