夏の桜
 西日が背中にあたって暑い。
 目の前では、小さくなった“女の子”のハクが川に入って、楽しそうに遊んでいる。たまにこっちに向かって手を振ったりしている。俺はそれに笑顔で応える。
 真っ白の浴衣が水浸しだ。
「ハク。そろそろ出ないと風邪引くぞ。浴衣もベチャベチャじゃないか」
 ハクはまだ遊び足りないと言うように頬を膨らませながらも、水から上がってきた。
 ハクは俺の横に座って、足をプラプラさせながら、足を乾かし始めた。
「楽しかったか?」
 そう聞くと、ハクは顔を輝かせて、コクリと首を振った。
「そっか。良かった」
 ハクはキョトンとして首を傾げたが、すぐにまた前を向いて足をプラプラさせた。
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