夏の桜
 日が暮れかけた頃、二人は帰ってきた。 今日もハクは、俺が家の中に入るまで帰ろうとしない。
「なあ、ハク」
 俺はハクの方に向き直った。
「お前、どこに帰ってるんだ?」
 お前の問いかけにハクは考え込む。そして辺りをキョロキョロと見て、森とは反対方向を指さした。
「そっか。ならいいんだ」
 俺は少しホッとして、家の中に入った。
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