となりの太郎君
抱きしめた腕を緩め、私を解放する。 「早く、飯食え。」優しい眼差しで見つめられながら、食べるお粥は美味しいけど、荻野さんの方を見る事が出来ずにいた…。 お粥を食べて、薬も飲んで、再びベッドに潜り込んだ。 「もう一回、熱計ってみろ。」渡された体温計を受け取り、脇に挟む。 「今日…バイト…は?」 「気分が乗らないから、休みにした。」 ピピピピ…。 脇から体温計を取ると、荻野さんがそれを奪う。 「39℃…か。明日になっても下がらなかったら病院行きだからな。早く寝ろ。」 食器を台所に運んで、電気を消した。