わたくしの日々
わたくしは暗闇の中、鍋を温める卓上コンロの火だけを頼りに食材を口に運んだ瞬間に己の未熟さを思い知った。
この不味さは食料を冒涜した人間に対する復讐なのだ。
わたくしが最初に口にしたのは想像を絶する不協和音を放出する食材であった。
その食材とは。
「お麩」
まさかのお麩。
最も無害に思えた、そのものはさして味もなく出汁を出すでもなさそうな弱者が強者に転じるとは。
味は地獄である。
全ての食材が出す負のエキスを余すことのなく染みこませているのである。
わたくしは泣きながら食した。
前に書いたが、食べ物を粗末にはしずらい世代である。
若輩なわたくし達は、心のどこかで「あれ?美味いじゃん!意外に美味いじゃん!!」と言った展開を期待していた。
愚かである。
食は疎かにする人間にはそれなりの解答しかしなのだ。
みなさまも闇鍋をする際には気をつけて。
わたくしはあれ以来、麩を食べていない。