わたくしの日々
生死
人は必ず年老いていく。
当たり前のことである。
なにやらわたくし達のDNAには「ちゃんと死ねる」といった情報が組み込まれているらしいので、死から逃れようというのはお釈迦様の手のひらで云々に近いことのように思える。
では、わたくし達がすべきことは何か?
わたくしは格好良く老い、生死と向き合い、颯爽と一期を畳むと云ったことに魅力を感じるのである。
そして、そんなことを突然思ったのにはわけがあるのである。
先日、一向に止まない咳の件で市民病院に行った時のこと。
やはりと言うか、待合室には御老人が多い。
皆様一様に、陰と陽で二分するとしたら陰。
まぁ病人なのであろうから当然だが。
そんな中、一人異彩を放った方を発見した。
その方。齢は70に近いだろうか?男性。
兎に角お洒落。
赤と黒を基調にしたタータンチェック調のパンツにハンチング帽。杖をついてはいるが、それはステッキと呼びたいデザイン。
帽子から少し覗く髪は、やはり少し寂しく、白くなっているが小奇麗に整っており、無精髭なんてものは勿論ない。
これだけでもちょっと憧れる老人像であるのだが、この方。
どうやらパンクの精神も携えておられるようで…。
パーカーを着ておられたのだが…
胸に書かれていたプリントは…
「DEAD or ALIVE」。
わたくしはこの様な老人に成りたいと、深く心に誓うのだった。