【短編】あたしとバカと自縛霊
とりあえず、こういう事態の対応は決めてある。


毒にも薬にもならない、薄っぺらい笑顔を浮かべ一応挨拶を試みるのだ。


「はじめまして幽子さん」


不可視の相手に挨拶。これがなかなか空寒いったらありゃしない。


何しろ返答がないんだもの。


いや、無いわけじゃない。


挨拶の後、いつも起きるのだ。


不可視の存在が己を表現するみたいに、一般常識では考えられない事が。


今回の場合は備え付けの青いベンチがガタガタと鳴った程度。


弱。
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