【短編】あたしとバカと自縛霊
ドアはやかましい軋みを上げ、夕暮れの赤光を浴びせかける。


眩しくて手で庇(ひさし)を作ると正面に人がいるのがわかった。


胸が高鳴る。


それは間違いようがなかった。見慣れた、幼なじみのバカ面。


也久。


也久は驚いた表情であたしを迎えた。


うん、歓迎はされてない。


駆け寄って、一発殴って、目を覚ませと怒鳴りつけたい。


それからあたしの心の内を全て也久にぶつけたい。


「……邪魔するな」
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