【短編】あたしとバカと自縛霊
也久はそう呟くと、色んな感情が入り混じった表情であたしの頬に手を添えた。


「なんで泣いてんの?」


「あたしが、知るかよ」


じゃあ誰も分かんないな。あたしの頬を伝う涙を指ですくいながら也久は困ったように言う。


そんなもん知る必要なんてないんだ。迷宮入りが丁度いい。


天の邪鬼を貫いて、だけど嗚咽はもう止まんない。


也久の胸に顔を埋めた。


暖かくて、いい匂いがする。流石に柔らかくはないけどその辺は仕方ない。
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