【短編】あたしとバカと自縛霊
部活動の息づかいは未だせず、寂寥とした屋上には嗚咽がただ聞こえるだけ。


「なんで、…なんで幽子なんだよ」


也久の胸倉を掴み、顔を鼻頭が触れあうくらいに近付ける。


「……好き、だから。それじゃあ駄目か?」


掴まれたまま、酷く沈着な声音で也久は答えた。


だけど落ち着いたそれはあたしの激情に油を注いだ。


「だから、何でよりによって幽霊なんかに…!?」


何であたしじゃないんだ。とは言えなかった。
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