【短編】あたしとバカと自縛霊
どこに、行くの?
無意味な質問だった。
わかってる。知ってる。理解してる。知悉(ちしつ)しきってる事だ。
也久は、幽子の下に逝くのだ。
青いベンチが歓喜を表すように喧しく鳴る。
駄目だ。そっちにいっちゃ駄目。
だけど也久はフェンスさえも飛び越えて、その身を死に曝(さら)す。
やめて、それ以上幽子に近付かないで。
伸ばした手は、届く訳もなくただ無意味に宙を掻いた。
「行かな……いで…!」
縋る様に出した声。
也久に届いたのか、あたしに振り向いて薄く笑んで。
そして、あたしの視界から、彼はいなくなった。
無意味な質問だった。
わかってる。知ってる。理解してる。知悉(ちしつ)しきってる事だ。
也久は、幽子の下に逝くのだ。
青いベンチが歓喜を表すように喧しく鳴る。
駄目だ。そっちにいっちゃ駄目。
だけど也久はフェンスさえも飛び越えて、その身を死に曝(さら)す。
やめて、それ以上幽子に近付かないで。
伸ばした手は、届く訳もなくただ無意味に宙を掻いた。
「行かな……いで…!」
縋る様に出した声。
也久に届いたのか、あたしに振り向いて薄く笑んで。
そして、あたしの視界から、彼はいなくなった。