【短編】あたしとバカと自縛霊
「俺は幽子さんに首ったけだ」


「言葉が古いんだよ。


……それにしたって幽子さんって――」


瞬間、あたしの言葉を遮る様に高らかにチャイムが鳴った。


あたしの声は着陸先を失ってそのまま宙に溶けて消える。


「チャイム、鳴っちまったか」


也久は上体を起こして思いっきり体を伸ばす。それから流れるように立ち上がって


「ホレ」


と、あたしに手を差し出した。


「あ…、ありがと……う?」


「なんで疑問文なんだよ」


也久の手を掴むと、「オワッ!?」ちょっとがさつに引き起こされた。


女性の扱いがなってない。
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