天秤男-大切な人を傷つける-
第一章[変わった女]
――ああ。
今俺の横を幸せそうな男女が通り過ぎた。
顔を見合せて笑っている男女。
俺の隣には誰もいない。
1人の人を愛せることってすごいことだ。
ましてやお互いが幸せで、充実するなんてことは・・・
俺にはきっと一生無理かもしれない。
女がいないわけじゃない。
むしろ人よりモテる自信がある。
言い寄ってくる女たち。
そのうちの何人かと関係を持っても
情が残るだけで恋やら愛やらは芽生えない。
俺は、23になった今でも初恋をしたことがない。
なんとなくダラダラと付き合い
童貞を捨てた。
貢がれたりするたび女の魅力が分からない。