俺様の飼い猫。
相変わらず働かない頭で、一生懸命昨日のことを思い出そうとしたけど…
全然思い出せない。
そんな時、タイミング悪くお腹がぐぅと情けなく鳴った。
あたしは、さっき言った男の言葉を思い出して、ベッドから起き上がり寝室を出た。
リビングのテーブルには小さなホットケーキとサラダ、大人っぽいカップに入ったココア。

「おいしーし…。」

誰もいない部屋に、あたしの呟いた声だけが響いた。
無言で、空っぽだった胃にホットケーキが入っていくのを、ただ実感していた。
２０分程で食べ終わって、ふと時計を見ると、時計の針は９時すぎを指していた。
いつもの習慣で、食べ終わった食器をキッチンに持っていくと、シンクには飲みかけのコーヒーだけがぽつんと置いてあった。

「コーヒーしか飲んでないんだ…。」

あたしのためだけに、朝食を作ってくれたかと思うとなんだか、ちょっとだけ嬉しくなった。
どこの誰かもわかんないあたしのことを泊めてくれて…。

「ってかまじであの人誰！？」

急に思い立って、あたしは玄関を靴もはかずに出て、表札を見た。

「御堂…？」

ふと、郵便受けに入っていた封筒の宛名を見ると《御堂総吾》と書かれていた。
御堂さん宛の郵便物を取って再び部屋に戻ると、それをテーブルに置き思い出したようにカバンからケータイを取りだす。
ディスプレイには、＜新着メール３件＞と表示されていた。
< 3 / 39 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop