俺様の飼い猫。

「あ…、歯磨きたい…。」

洗顔もしたいし、シャワーも浴びたいし…。
どうしようかと考えていると、テーブルの上にさっきは気付かなかったメモと、１万円札が置いてあった。

『用事があったら連絡しろ。』

という達筆で書かれた言葉と一緒にケーバンが書かれていた。

慌ててケータイを開きその番号にかける。

「…もしもし。」
「あ、あの！」
「…何だ、猫ちゃんか。」
「猫！？」

何回かの発信音の後に、さっき聞いた低い声が出る。

「猫じゃありません！」
「んなことわかってんだよ。」
「じゃあ何でね「んで、何の用だ？」

あたしの反論しようとした言葉をさえぎった。

「あの、お金。」
「あぁ、使えよ。俺が戻るまで、どーせ帰れねぇだろ？」
「だからって！」
「いいから使えって。近くにショッピングモールかなんかあるからよ。歯ブラシとかは換えの入ってるはずだからそれ使えよ。」
「で、でも！「じゃあ、ご主人様が帰るまでおとなしく待ってろよ。」

またもや、あたしの言葉をさえぎって電話は切れてしまった。

「何なの…。」

そう呟きながら、あたしは言われた通りに歯ブラシを探した。