俺様の飼い猫。
「ご馳走様。」
「…え？」
「うまかった。」
「本当ですか…？」

少しだけ顔を上げて聞いてみる。

「あぁ。まぁ、俺が作った方が何倍もうまいけどな。」

そう言って、また寝室に戻っていく。
取り残されたあたしは、ただオムライスを食べていた。
食べ終わった食器をシンクにさげて、洗う。
一通り仕事を終えると、疑問が浮かんできた。

あたし、何で帰れないの？

そう思って、寝室のドアを開ける。

「なんだ？」

パソコンから一旦目を離して、その視線があたしに向けられる。

「お仕事中ですか？」
「いや、いい。」

シルバーのフレームのメガネを外して机に置く。

「あの…、あたしそろそろ帰りたいんですけど…。」
「そうか、そうだな。送ってやるから準備しろ。」
「はい。」

パソコンを一度閉じると寝室を出ていく。
後を追うように、あたしも鞄を持って寝室を出た。
そのまま促されるように、玄関に導かれ、廊下に出る。
地下駐車場までエレベーターで降りると、庶民のあたしでもわかるほどの高級車が並んでいた。
ずんずんと前に進んでいく御堂さんを早歩きでついていく、綺麗に駐車された車の１台が、御堂さんの車だった。
どの車よりも高級そうな、白いスマートな車。

「乗れよ。」

助手席を開けられて、あたしは小さく「どうも」とだけ言って、車に乗り込んだ。
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