この想いを君に…3
「まだ高校生だし、まだレースでも色々出来るのに、結婚なんて考えないでよ!
…高校を卒業して結婚して大阪に行ったら」

知樹は必死に唇を噛み締めている。

「一緒にトレーニングも出来なくなる」

そう言うと知樹はあたしの手を握りしめた。

あたしもその手を握りしめてゆっくり歩き始める。



「ママも泰樹も桜も…
浮かれすぎだよ。
そんなにむっちゃんを家から追い出したいのかな?」

それは…

「考えすぎだよ、知樹」

あたしは苦笑いをする。

「ママは永遠の乙女だし…
泰樹や桜はまあ、あんな感じだし…」

「そうだけど…」

知樹は不満がたくさんあるみたいで何やらゴニョゴニョ言っている。

「知樹」

あたしは、いつの間にか自分より背が高くなっている知樹を見つめた。

「ありがとう」
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