この想いを君に…3

- 祥太郎 -

「へぇ…」

俺は走行している睦海を見つめて思わず微笑んだ。

最初は転倒するんじゃないかと思うくらい危うい走行だったけど。

周回を重ねる度に上手くなっている。

しかもタイムも。

段々上がってきている。



それでも、俺よりは7秒、遅いけど。

初めてマシンに乗った事を考えても上出来だ。

来年、ST600かJSB1000に転向してもいいかもしれない。



「むっちゃん、なかなかやるなあ」

隣で光さんが呟く。

「これなら万が一の時があっても大丈夫かな」

「光さん、不吉な事は言わない!」

俺は苦笑いをする。



去年、レース寸前に光さんが事故って、第三ライダーを登録していなかったこのチームは出場をキャンセルしたから。

ここまできてさすがにそれはやめてほしい。
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