この想いを君に…3
結局、あたし達はランニングをせずに手を繋いで歩いていた。

…弟と手を繋ぐなんて。

変、って以前、サーキットで言われたことがあるけど。

あたしの家族ではそれが普通だった。

特に知樹はサーキットで同じように走行する事が多いし、お互い、何かあるときは自然と手を繋いでいた。



「あの夜…」

太陽が西に沈んでいく様子を見つめながら知樹は口を開いた。

「パパは凄く寂しそうだったよ…」



一挙に涙腺が緩んだ。
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