この想いを君に…3
しばらくして知樹が口を開く。

「むっちゃん、そんなに早くお嫁に行きたいの?」

知樹の悲しそうな目を見るとあたしも悩む。

普段は憎まれ口満載で腹立つ事も多いけど。

三つ子の中で一番近い存在が知樹だから。

知樹にそう言われると本当に辛い。



「知樹は本当に睦海が好きなんだなあ」

パパは肩を揺らして笑っている。

「嫌いより、好きな方がいいに決まってる」

平然と知樹は言ってのけた。

「むっちゃんは憧れだよ。
勉強も出来るし、スポーツも出来るし。
更にバイクに関しては天才的だし」

「知樹、誉め過ぎ」

あたしは笑った。

「ただ、天然ボケと暴力が酷いけど」



その瞬間、知樹の太股にいい音が響いた。



「…ち、ちょっと!
それが女の子らしくないの!!」

「知樹にそんな事、言われたくないー!」



後部席でギャアギャア喧嘩してると



「うるさい!」

パパの罵声が飛んだ。
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