この想いを君に…3
予選は午前と午後、2回に分けられる。

更に夜間走行もあるから午後8時くらいまで走る事になる。



「光さん、凄いなあ…」

祥太郎は呟く。

予選A組第1ライダーの光さんはまたしても。
2分08秒125で今のところA組トップ。

更に周回を重ねて2分07秒368まで上げてきた。

「朝からこれって大丈夫か?」

さすがの祥太郎も心配していた。

ペースを飛ばし過ぎているような気がする。



でもそれは。

光さんが賭けている証拠だった。



「スポンサーには数字で示さんとわかってくれへんから」

いつも光さんはそう言っていた。

最下位でもいいから完走を果たす事。

リタイアじゃ、スポンサーは自分がお金を出しているライダーが一体どれくらいの実力なのかわからない。



今回はリタイアせずにいかに優勝に近づくか。



光さんの頭にはそれしかないし、またそれを狙えるって言っていた。



どうか転倒だけはしないで欲しい。

そう、願うしかない。
< 120 / 247 >

この作品をシェア

pagetop