この想いを君に…3
「…見せてる?」

あたしが祥太郎を見つめると祥太郎は頷いて

「光さん、鍛えているとはいえ元々それほど体力がある方じゃない。
今日みたいに暑いのは体に相当きているはず。
それでも攻めて走っているのは睦海の存在が大きいよ」



全日本のレースでも今年は光さんはどこかそんな風にしていた。

言葉で伝えても伝えきれないから。

自分自身の体を使って伝える。



それは見ていてよくわかる。



「本当は光さん…」

祥太郎はモニターを見つめて申し訳なさそうに言った。

「この夏はお前と2人で走りたかったと思うよ。
順位とか関係無しに」



うん、あたしもそうだけど…

祥太郎が加入してくれたおかげで。

このチームにファンがたくさん付いてくれて。

光さんにとってもいい刺激で、全日本では2人ともいい成績だし。



何が一番の選択か、とは言えない。



でも、これで良かったと思っている。
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