この想いを君に…3
「あ、見たこと、ある!」

俺の顔を見つめて言ったのは…

悠斗の彼女、か。

「前、メイド喫茶で隣の席でしたよね?」

俺は頷く。

でも、名前とか全くわからん。

「誰が何て名前かわからんから自己紹介して欲しい」

そう言うと

「じゃあ、まずは光さんからしないと!」

悠斗、ニヤニヤしながら言うの、止めろよ…

裏がありそうで嫌やわ。



「…住吉 光です。
K−Racingのライダーでお店でも店員やってます」

少し間があって

「年齢は今年37歳でむっちゃんの彼氏でーす!」

悠斗…

いつの間にそんなキャラになったんや?

むっちゃんの友達は口々におー!とか言ってるし。

「37に見えない!」

悠斗の彼女は叫んだ。

「じゃあ、自己紹介してよ?」

まずは悠斗の彼女から。

「難波 奈々です。
ご存知の通り、アニメ系オタクです。
悠斗くんと付き合う時は一応お世話になりました!」

そう言って頭を下げる。

「で、その後は順調?」

奈々と悠斗は顔を見合わせて笑った。

順調で何より。



「光さん、お久しぶりです!」

そう言うのは去年の年末に無理矢理Wデートをしたリコちゃんカップル。

彼氏の国分くんは免許取るときにバイクの乗り方を教えて以来、俺を慕って店に来てくれる。

国分くんのバイクのメンテは俺がしてる。

「光さん、引退しちゃうんですよね…」

寂しそうに国分くんが言うから…

俺も寂しくなる。
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