この想いを君に…3
想定通りの周回数を走って光さんはピットインしてきた。

祥太郎は光さんの肩をポン、と叩いて労う。

光さんも祥太郎の背中を叩いた。



「さすがに飛ばし過ぎた」

光さんは苦笑いしながらヘルメットとレーシングスーツを脱ぐとプールに入る。

「お疲れ様」

あたしが頭から水をかけると

「まだまだこれからやけどな〜」

そう言うけど。

光さんの顔には余裕があった。



そりゃそうだ。

毎日、朝から晩まで仕事をしてそれからトレーニング。

睡眠時間を削ってトレーニング。



これでもか!というくらい、自分を追い込むのを見ているから。

そんな余裕もわかる気がする。



「むっちゃん〜、もっと頭にかけて!!」

そんな催促にあたしは微笑んだ。
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