この想いを君に…3
「じゃあ、むっちゃん、いよいよお嫁入りの準備ね!!」

携帯の向こうから聞こえる真由の声が弾んでいた。

睦海達が寝たのを見計らってホテル前に出て家に電話を掛けた。



思わず苦笑いをする。



「…でも良かった」

真由はホッとした様子で

「むっちゃんが海外へ行っちゃったら中々会えないじゃない。
光くんの所ならいつでも会いに行こうと思えば行けるしね」



真由も。

結局は睦海が可愛い。

光との結婚を凄い勢いで押しているけれど。

いざ、そうなる時が来ると泣いていそうな気がする。



「じゃあ、明日は行くからね!」

「うん、待ってる」

明日の決勝は泰樹を連れてサーキットにやって来る。

桜は試合があって来られないけど。



俺は携帯のボタンを押して空を見上げる。

夜中だというのに月が東から昇って。

少し雲がかかっている。



何となく趣があっていいな。

そんな事を思いながらホテルの中に入った。
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