この想いを君に…3
お昼は体育館が開放されて保護者の休憩所として使われる。

2階へ続く階段を上がりながら真由は途中で立ち止まり、下を見つめた。



「どうしたの?」

俺が聞くと真由は切なそうに笑って

「私、多分この辺りから落ちたと思う。
…もう18年前の話だけど」



あ…そういえば。

拓海の事を好きな女の子が真由を突き落としたら、拓海が下敷きになって真由を助けたんだ。

あの日、拓海が怒り狂いながら学校から店にやって来て何事かと思った。



「そんな事もあったねー…」

祥太郎が苦笑いをして

「ここだったんだ、その場所って」



真由は一瞬、泣きそうになって頭を左右に振った。

そしてまた階段を上がり始めた。
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