この想いを君に…3
…無視、無視!!

脱いだ靴下をあたしは鞄の横に置いた。

そしてママと目を合わさないようにする。



ママはため息をついてあたしの靴下を持って行った。

…諦めたか?



「ちょっとむっちゃん〜!!」

いきなり!!

あたしの3歳年下の妹。

しかも三つ子の末っ子、桜が後ろから抱きついてきた。

「この度はオメデトウゴザイマス」

横を向くと。

桜はニヤニヤ笑っている。

「光さんのお嫁さんになっちゃうんだよねー!!
じゃあ、智道くんは失恋したという事で…」

…桜、打算的だよ。

桜の言う智道とはあたしと同じくサーキットを走行している2歳年下。

やたらとあたしに付き纏う。

あたしはあのタイプ、大嫌いだから無視してるけど、桜は昔から好き。

何度もアプローチを掛けてるけど、今度は智道が逃げる。



「さくちゃん!」

ママが再びリビングに現れた。

「早く練習に行かないと!!」

桜は新体操をしている。

なんと国内ジュニアでは去年のチャンピオン。

毎日、学校から帰ると練習に出掛けて午後9時以降に帰ってくる。

「また、話を聞かせてよ!!」

桜はあたしの頬にキスをして出掛けた。
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