この想いを君に…3
「じゃあ…」

レースが終わると光さんはトラックから自分のバイクを出した。

このまま、大阪に向かう。

お店には木曜日から出勤するって言っていた。

一度実家に戻って話し合いがあるらしい。



「むっちゃん」



多分、あたし。

泣きそうな顔をしていたのだと思う。

光さんは苦笑いをして

「出来るだけ早く、戻るから」

と言ってあたしの頭を撫でた。



光さんのバイクを見送って。

胸が苦しい。

こんな事じゃ…

いざ、光さんが大阪に帰ったらどうするのよ…



あたしが頭を左右に振っていると

「むっちゃん」

知樹がそっとあたしの手を握った。

「さあ、帰るよ」

あたしは頷く。



…また、ママの運転で帰るから、しっかり目を開けとかなきゃ!
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