この想いを君に…3
どうせ辞めるなら。



コイツを殴ってから辞めたい。



そう思って右手に渾身の力を込めた。



なのに…



右手は交野の顔に振り下ろされる事はなかった。





「睦海!!」

初めて、悠斗があたしの名前を呼び捨てにして。

あたしの握り拳を全ての力を集中させて止めていた。



「今、ここでこんな奴を殴っても何の得にもならないよ!!」



「悠斗、手を離して!!」

でも、悠斗は離さない。

「停学になれば睦海はレースに1年、出られなくなるよ!!」



そう。

ウチのチームの規則。

学生で停学になった者は。

1年、レースには出さない。
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