この想いを君に…３

「ここにある寄せ書きの写真、実は門真さんの本当のお父さん」



一瞬、えー！という声が上がる。



「彼もよく、屋上で過ごしていたわ。
彼の場合は友達もそれなりにいたし、別に一人でいる理由はないんだけど、一人になりたいんだって言ってたな」



孤独に強かったのね、と先生は続けた。



「なんでこの図書館にある卒業アルバムに色紙が挟まれているかというと。
彼は卒業寸前に亡くなったから。
車に追突されて…」



教室が静まり返った。



「彼も今の門真さんのようにバイクのレースに出ていたわ。
高校２年でチャンピオンにもなって。
将来を有望されていたのに…」

先生の目から涙がこぼれた。

「彼…柏原くんと門真さんのお母さんは本当に仲が良くて、みんな卒業したら一緒になるんだろうなって思っていたから…」

まさか一緒に卒業すら出来ないなんて思ってもみなかったし…

そう言って先生は色紙を見せた。

「みんなで卒業前、柏原くんへ手紙を書こうって」

そこにはたくさんの言葉が並べられてあった。



「誰かがある日突然いなくなるっていうのは本当に悲しい事なのよ」