Bloody angels
「すごいなぁ、お姉さん。今2階から降りてきたやろ?めっさびっくりしたわ。」
突然後ろから声がした。
声のしたほうに目を向けると、そこには1人の少年が立っていた。
(なんだ、こいつ。)
「なぁ、お姉さん中学生なん?どこ中?わい引っ越してきたばっかで・・・」
「ごめん。ナンパなら他あたってくんない?あたしあんたみたいな軽い男にかまってる暇ないんだけど。」
(・・・なんであたし謝ってんの?)
「あっ、別にそーいうわけやなかったんよ。忙しいとこごめんな。かんにんや。」
「・・・別に。」
「・・・?」
少年が2・3歩近寄ってきて、ジッと音羽の顔を見つめてきた。
「な、なに?」
音羽はグッと後ろに体を引いた。
「いやぁ・・・お姉さんごっつ寂しそうな目してんなぁーと思うてな。なんかあったん?

(・・・こいつ・・・)
「あんたには関係ないでしょ!!ウザいから消えてくんない!?」
「・・・わい、椎名瞬斗っちゅう名や。なんかあったら呼びいね。ほな、おーきに。またね。」
ちょっと悲しげな顔をした少年―椎名瞬斗―はそう言って立ち去って行った。
「・・・瞬斗!!」
音羽は呼んでからびっくりした。
なぜ自分が彼を呼んだのかわからなかった。
瞬斗はくるっと音羽のほうを向いた。
「なんや??」
「あたし・・・音羽。渡邊音羽。」
「『おとわ』って音に羽?」
「そう。」
「ふーん。じゃぁ、音羽チャンには羽が生えてるんやね。」
その瞬斗の言葉と笑顔に音羽は少しドキッとした。
(なんだこいつ・・・馬鹿じゃないの?)
音羽は少し顔をがほてってるのを隠すようにスケボーに飛び乗り、走り去った。
瞬斗は音羽の背中がどんどん小さくなるのを少し笑いながらずっと見ていた。
「あれが・・・音羽・・・。」
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