私の王子様-先生【完】
「今まで明がよければそれでいいと思ってた。でもね…苦しそうな明を見ていたくないの。本当は先生と一緒にいたいくせに我慢して、このままじゃ明がおかしくなっちゃう…」
よく見ると彩は泣いていた。
私が泣かせた…
そう思った瞬間私はひどい罪悪感を感じた。
親友に心配をかけたあげくに泣かせるなんて親友失格だ…
「彩ごめんね…」
「謝ってもらいたいんじゃないの。私はもう一度幸せそうな明を見ていたいの」
その言葉に私は何も言えなかった。
自分の中でうまく答えが出なかったから…
「ねぇ…お願いだから先生のところに行って?」
「へ…」
まさか彩がこれを言うとは思っていなかった。
「幸せな明に戻って?」
もう一度そう言った顔は切なそうで
“私はこれ以上彩を傷つけられない”
そう思った。