最期のYou Got Maile
運命の出会い
「YOU GET MAIL!」
暗い部屋の中、チカチカと光りを放つディスプレイに浮かぶメール受信の文字。
相手は、私が所属しているアダルトサイトの会員の一人からだ。
普段なら、そくゴミ箱行きのメールも、今日ばかりは違った。今日だけは誰でもいいから、話し相手が欲しかった。
「こんにちは。僕のこと覚えていますか?」
メールの書き出しは、そんな一文から始まっていた。
覚えていますか?と聞かれても、覚えている筈がない。一日に何十人という数の相手をしているのだ。その中の一人の事など、いちいち覚えているはずがないが、私はその先の文章を目で追った。
「半年ほど前に、初めてメル嬢とお話をさせていただいたロアです」
ロアという名前に、私は少しだけ思い当たる節があった。ロアとは、古代の言葉で王様を意味するのだとか、ちょっとインテリぶった客が確かにいた。ちなみに、このロアとは客のハンドル名だ。そして、メル嬢とは勿論私の事。この場合、私は『メル』というハンドル名を使っていた為に、メル嬢と呼ばれている。勿論、私なりのブラックユーモアのつもりで付けた名前だ。
「あれから半年が過ぎて、メル嬢の言われた『いい男』に少しは近付けたと思います。そこで、今度の日曜日、時間がありましたら会って頂けないでしょうか?場所は…」
ロアが一方的に送ってきたメールには、私の見知った名前の駅が記されていた。
「では、僕は胸に赤い薔薇を差して現地で待っています。メル嬢は僕らしき人間をみかけたら声をかけてください。来てくれなくてもずっと待ってます」
文章はそこで途切れていた。
「胸に赤い薔薇って…」
私は思わず呟くと、これが一方的なメールでなければ、有無を言わさずそんな馬鹿な真似だけはするなと説教するところだったのにと悔やんだ。
でも…。
私の視線は壁にかけられているカレンダーに向けられる。ロアのいう日曜日とは明日だ。
最後…だもんね。
暗い部屋の中、チカチカと光りを放つディスプレイに浮かぶメール受信の文字。
相手は、私が所属しているアダルトサイトの会員の一人からだ。
普段なら、そくゴミ箱行きのメールも、今日ばかりは違った。今日だけは誰でもいいから、話し相手が欲しかった。
「こんにちは。僕のこと覚えていますか?」
メールの書き出しは、そんな一文から始まっていた。
覚えていますか?と聞かれても、覚えている筈がない。一日に何十人という数の相手をしているのだ。その中の一人の事など、いちいち覚えているはずがないが、私はその先の文章を目で追った。
「半年ほど前に、初めてメル嬢とお話をさせていただいたロアです」
ロアという名前に、私は少しだけ思い当たる節があった。ロアとは、古代の言葉で王様を意味するのだとか、ちょっとインテリぶった客が確かにいた。ちなみに、このロアとは客のハンドル名だ。そして、メル嬢とは勿論私の事。この場合、私は『メル』というハンドル名を使っていた為に、メル嬢と呼ばれている。勿論、私なりのブラックユーモアのつもりで付けた名前だ。
「あれから半年が過ぎて、メル嬢の言われた『いい男』に少しは近付けたと思います。そこで、今度の日曜日、時間がありましたら会って頂けないでしょうか?場所は…」
ロアが一方的に送ってきたメールには、私の見知った名前の駅が記されていた。
「では、僕は胸に赤い薔薇を差して現地で待っています。メル嬢は僕らしき人間をみかけたら声をかけてください。来てくれなくてもずっと待ってます」
文章はそこで途切れていた。
「胸に赤い薔薇って…」
私は思わず呟くと、これが一方的なメールでなければ、有無を言わさずそんな馬鹿な真似だけはするなと説教するところだったのにと悔やんだ。
でも…。
私の視線は壁にかけられているカレンダーに向けられる。ロアのいう日曜日とは明日だ。
最後…だもんね。