*Tiara*〜天使の君〜
しばらくはいつも通りの生活が続いた。



が、ティアラが倒れてから3日目の夜。



皆が寝静まる頃、リリスの国王アーリオは不思議な音を聞いた。



(ゴォーーッ)




その音はどんどん城に迫ってくる



(この音はなんだ?…なにかが起こっているのか…。)



アーリオは恐怖を感じ、寝室を出て、廊下に行こうとした… その時!



衛兵がひどく慌てた様子で走ってきた。


「衛兵っ!!なにがあったのか」





「アーリオ様っ!!水がっ………ナイン川の水が急激に増水し、城下に迫ってきておりますっっ。急ぎご命令を!」




大雨が降ったわけでもないのに川が氾濫し、洪水をおこしていた



なんてことだっ
どうしてナイン川が氾濫を?



アーリオは衛兵に「国民を城の中に避難させよ」
と命令をした。




その間にも水は、城下にどんどん広がってきていた。



衛兵たちは、城に避難してきた国民を誘導し、まだ取り残されている者を助けるためバタバタと走り回っている。



まさにパニック状態だ





「アーリオ様っ!!国民はほとんど避難が完了したものと思われます。」



「そうか。ご苦労様、皆パニックにおちいっている。民を安心させてやってくれ。」




「はっ。」





国民は本当にもう全員避難できたのか?


もしや、どこかにまだ取り残されているのでは…。

そう考えると、アーリオは心配でならなかった。
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