*Tiara*〜天使の君〜
夕日はもう地平線に沈みかけている


そのわずかな光を受けて、ナイン川はきらきらと輝いている



それはティアラの心情を表しているのか、どこか儚さをもつ輝きだった




「ここに来るのは久しぶりね。」


ティアラはナイン川が流れている、谷を見下ろしながらつぶやいた



ここは昔、ティアラ達がよく遊んでいた場所



町とは正反対の方角にある野山だった



そこには谷があり、リリス国の豊さの象徴のひとつ……美しいナイン川の流れがある




ティアラは幼いころから、谷を見下ろしナイン川のきらめきを見つめるのが大好きだった


「本当に美しいな。ティアラはナイン川が昔から大好きだったよな。」


(確かにあの頃と全然変わらない。)

リオンの言葉にティアラは静かに頷いた



「少しこの辺りを乗馬でまわりましょうか。」


ニックが静かに言う


「ええ、そうねニック」



4人はその谷の裂け目にそって進んでいった
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