*Tiara*〜天使の君〜
「アイル女官長、娘が目覚めたと聞いたが…」



長い髪でマントを羽織った若い男の人が部屋に入ってきた


と同時に周りにいた人たちがその人のためにスペースを空ける


「シリウスさま。お目覚めですよ。」


アイルが言うとこちらに気づいたようで近づいてきた


「気分はどうだ?」

私に話しかけているみたい

「………。」


私はいきなりのことで声が出なかった


「話せないのか?そなたに言っているのだ。」


シリウスはすこしイラついたようだ


「あっあの。シリウスさま?きっと目覚めたばかりで混乱してい………」

「うるさい。わたしはこの娘に話しかけている。」


アイルが助け舟をだしてくれようとしたのを遮るように言う


「あの………助けていただいたんですよね?」


すこし怯えながらたずねる

「そうだ。私がルナ川の近くに倒れているのを助けた。そなたはどうしてあんな所に倒れていたのだ?きっと川に流されてきたのであろうが………」


私が倒れていた?なぜ……

しばらくかんがえてみたが
なぜか思い出せない


「……私…」


もう一度よく考える


記憶をたどって……


「どうした?そなたはどこからきたのだ。名はなんという?」


名前………?


さきほどまで見ていた夢を思い出した


私の名をだれかが悲しそうな声でよんでいた


でもはっきりとは聞き取れなかった
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