*Tiara*〜天使の君〜
あれはだれだったんだろう………



「わたしは………。」


必死で思いだそうとする


でも……
わたしの頭の中は真っ白のままだった


「私は……だれ?」


そう小さくつぶやくとなぜか目から涙が溢れ出した



「…わたしっ……わたし、ごめんなさいっっ…なにも思い出せないんです…」


顔を手で覆うと泣き出した



シリウスは突然泣き出してしまった少女に困惑した


「思い出せない?とは………」


「もしや記憶喪失になっているのかもしれませんな、シリウスさま。この娘のキズを見る限り、川をずいぶん遠くから流されてきたようじゃ。無理をさせるのは、あまりよくありませぬ。」


皆と同じようにベッドのそばで少女の様子を見ていた侍医が言った



「記憶喪失……か。」


そんな話し合いをしている隣ではアイルが少女をなぐさめていた


「まだ目が覚めたばかりで、混乱しているのでしょう。大丈夫、焦らないでゆっくり思い出せばよいのです。」

なんで他人の私にこんなに優しくしてくれるの?


「っう…ありがとう。アイルっっ…」



私はそのままいつの間にか意識を手放していた
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