せぴあなタメ息
ドラムが楽器の位置を微調整すると、

演奏が始まる。

・・・いつもは。

けれど、今日は、アサコがマイクの前に立った。


「こんにちは。ルシアンです。

ごめんなさい。今日は、エイジが突然来られなくなりました」

 
ホールが残念そうな声にどよめく。


「代わりに今そこで捕まえた、新しいヴォーカルを披露します」


乱暴な、紹介だな。

類は体から冷汗が噴き出すのを感じた。
 
アサコが一歩引くとそれを合図に、

演奏が始まった。

 
あの中央に出て歌うのか。

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