せぴあなタメ息
窓がノックされる音がして、

類の意識は今いる部屋の中に戻された。
 
少し身を起こして窓の方を見る。
 
剥き出しのガラスの向こうに友之がいた。
 
友之の部屋は真向かいにある。

ほんの少しの間を隔てて、お隣に家があって。

その二階、たまたまこの部屋の向かいが、

友之の部屋なのだ。
 
だから、

幸か不幸か行き来が難なくできる。
 
こんな環境でありながら、

友之が情熱を傾けている世界のことを、

全く知らなかったのだ。
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