それは初恋で、
扉の向こうの罵声が、水を凍らせて全身に鋭く刺さっていく。
もう、
冷たいなんて感覚はなくて。
メガネも水で落ちてしまった。
「大人しく地味子してろっての」
「ってか、マジ意味分かんないんだけど。何で昨日相沢と抱き合ってたわけ」
「そう、それ!! マジ?」
「ありえない」
「答えろよ!!」
彼女達は個室の扉を殴る蹴るして脅かした。
どうしていつもこうなんだろう。
どうして―…
こんなことなら、昨日のこと全部、
夢みたいな時間全部いらないから、
返すから、
所詮私には普通の高校生活なんて送れないんだ。
もう、全部無かったことにして…
違う。