それは初恋で、
「叶くん、先生来ちゃうよ! 戻ろ」
という私の声のすぐ先には、先生がいて、教室に(こちらに)向かって来ている。
「叶? と、藤沢…何してんだ、もう…」
「すみません、トイレです」
!!?
それはないよ、無理があるよ叶くん!
叶くんは先生とすれ違い突き進む。
「連れション……女と? イヤイヤイヤイヤ、女子とトイレって、え、オイ叶?!」
先生は止めようと何か叫んだけれど、すでに私たちは聞き取れないところまで進んでいた。
というより、叶くんの引っ張る強さに逆らえず、止まれなかった。