それは初恋で、






玄関の扉を無心で開け、ゆっくり閉まる扉を背に、私の足は動かなくなった。




悲しいとか
苦しいとか
淋しいとか


心にそんなものはなくて。


温かい涙が左目から一粒、頬を伝って地面へ落ちる。






終わったんだ。



私の初恋は






たくさん悩んでたくさん考えた頭が一掃され、ポーッと熱い顔にふわり空気が触れた。




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