それは初恋で、
まだ、見たことのない表情。
これから、もっともっと知っていきたい。
「亜希、こっち」
「ぅわッ!!」
「横のケモノは変な気起こさないように頭冷やしてなさいッ」
「テメッ…!!」
早紀ちゃんは私の腕を掴んで、柵のところまで走る。
私は早紀ちゃんを追いかけるように、引かれるままに走った。
走りながら、
「良かったね、亜希」
「うん…」
早紀ちゃんの顔は見えなかったけれど、声は慈愛に満ちていて、きっと心から祝福してくれている。
立ち止まり、柵に手を掛ける早紀ちゃんの横に、私は並んだ。