それは初恋で、
階段、廊下、学校で走ってはいけない場所を今、全力で駆ける。
常識を差し置いて、走る気分は清々しく。
下足室まで来たところで、相沢くんと鉢合わし、
「あれ、お前ら何して…」
「いいから、走れ!!!」
早紀ちゃんは相沢くんの首に腕をかけて(ラリアット気味)巻き込んだ。
「ぐぇ…げ、わっ、山田!?」
廊下の角を曲がって追いかけてくる山田先生を見て、相沢くんは自ら走り出した。
「堂々の遅刻か、春樹」
「や、寝坊して…つか、どういう状況!?」
「さぁ? とりあえず走るんだって」
「は?」
相沢くんに会うのは、家の向かいの公園で返事をしたあの日以来…
どう、顔を合わしたらいいのか分からない。