メガネで無口な王子様


何時間たっただろう。








気が付くと、泣きすぎてそのまま寝ちゃったらしく、 
窓の外をみると、辺りはすっかり暗くなっていた。








「…………かえろ……」








私はベットから出た。 











すると、
普段は、保健の先生が座ってる場所に



波多野くんが座っていた。 









しかも机に顔を伏せている。 



きっと寝てるんだ……。 








波多野くんの手元をみると、 
今日の保健室利用統計の紙だった。






………私を起こさないでやってたんだ……







……そうだよね……。 







嫌いな人とわざわざ仕事しないもんね……。 








そう考えるとまた泣きそうになりそうになった。


でもそれをこらえ、波多野くんの肩に手をおく。 








「…………波多野くん???
もう20時だよ??」








一応起こさないと風邪引いちゃうしね……。 








「………あぁ…………
…お前起きたのか………。」








名前を呼ばれてどきっとする私。







「………うんっ……
ごめんねっ
私……起こしちゃって……」



「……全然……
むしろありがとう。」








無愛想な返事は前と何一つ変わらない。







今日の波多野くんの言葉が嘘のようだった。







「………じゃ、帰るか。」





思いもよらない言葉に息を呑んだ。








「……えっ………うん。」








そして私たち2人は保健室を出た。



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